豊かな教育による学びが最良の臨床を実現する
当講座では卒前・卒後ともに教育に最大限の力を注いでいます。一流の人材を輩出するために、ただ教えられるだけではなく、「共に学び成長する」姿勢を重視し、国内外から多数の研修生・留学生を積極的に受け入れ、切磋琢磨しながら学んでもらっています。
卒前教育(学部教育)の主眼は、全ての臨床家に必要なリハビリテーション医学・医療の考え方の枠組みを修得してもらうことです。どの科の医師になるにしても、「活動障害を診る」、「活動-機能-構造連関」という基本的な考え方を基に、特に医学教育では忘れられがちな不動・廃用、日常生活活動(ADL)、運動学習、支援機器という概念の重要性を理解する必要があります。そのために、我々のリハビリテーション医学教育は超実践的です。1年生のclinical exposureに始まり、4年生の系統講義を経て、5年生の臨床実習においては実際に入院患者さんのリハビリテーション治療計画を立てるところまで行います。さらに地域の回復期リハビリテーション病院としての機能を持つ七栗記念病院では、1週間の臨床実習期間中に入院患者さんの診察の他、入浴介助や実際のリハビリテーションへの参加などの課題が設定されています。また、卒前教育の対象は当学の学生に留まりません。日本の医学部にリハビリテーション医学講座がまだまだ少ない現状を鑑み、ゴールデンウィークと夏休み期間中には、全国の医学生を対象とし、臨床実習も取り入れた医学生リハビリテーションセミナーを開催しています(2019年は全国から24名の医学生が参加)。
リハビリテーション医療は最良のチームによって最大の力を発揮します。良いリハビリテーション医療は、良いスタッフの存在によりはじめて成り立ちます。藤田医科大学には療法士の学科として保健衛生学部リハビリテーション学科があり、当部門は積極的に療法士教育にも関わっております。卒前教育では当部門の医師が講義を担当する他、臨床実習にも大きく関わっています。また、コメディカルの卒後教育では、認定看護師教育課程「摂食嚥下障害看護」の実習生の研修も行っております。
さて、リハビリテーション科専攻医教育の大きな目的は、超一流のリハビリテーション科医を養成することです。私たちは日本リハビリテーション医学会認定の基幹研修施設を2つ(藤田医科大学病院、七栗記念病院)備え、どちらでも専門研修プログラムを受けられるように設計しています。そのうち藤田医科大学病院を基幹施設とした藤田医科大学リハビリテーション科専門研修プログラムでは、さまざまな特徴を有する連携施設(16施設)の多数の指導医によるバックアップのもと、急性期から生活期まで、豊富な臨床体験を積むことができます。わけても藤田医科大学病院は、大学病院のなかに回復期リハビリテーション病棟および地域包括ケア中核センターを有するという国内でも稀有な施設であり、急性期から回復期、さらには生活期まで、全ステージにおいて最先端のリハビリテーション医療を実践・体得することができます。このリハビリテーション医学教育システムは世界でもトップクラスであると自負していますが、このような恵まれた環境に、多様なバックグラウンドを持つ専攻医の先生が全国より集まり、毎年続々と専門医が誕生しています。2023年現在、専門医資格を持った当部門の構成員(出向者を含む)は81名に達しております。
大学院教育への注力も言及しない訳には参りません。当大学院では世界を変えうるリハビリテーション医学・医療の実践的研究者を養成するためのカリキュラムを用意しております。臨床研究を中心課題としながら、リハビリテーション医学や診断学、治療学、運動学などの特論講義・実習を並行して行います。メインの研究テーマは、活動分析、摂食嚥下障害、歩行再建、ロボティクス、神経生理など、多岐に渡ります(「研究」のページに詳説しております)が、全てのテーマにおいてスペシャリストがスペシャリストを養成できるように人材を配置しております。医師・歯科医師・療法士をはじめとし、職種・国籍を問わず、沢山の多種多様な方々が毎年当大学院の門を叩いています。
最後にはなりますが、リハビリテーション医学の一番の魅力は「わくわく楽しい」ことです。藤田医科大学リハビリテーション部門にこれだけ多くのメンバーが集まったのも、ひとえに「楽しい」からだと思っています。この楽しさをなんとか伝えようと筆をとりましたが、やはり百聞は一見に如かずと言う通り、実際に体験して頂くのが一番です。当講座では学生でも他科で経験を積まれた方でも喜んで見学を受け入れておりますので、いつでも気軽にご連絡を頂ければ何よりです。皆さんと一緒に楽しく仕事ができる日を心待ちにしております。